運動で血圧が下がる

2026年8月7日
内分泌外科 岡本 高宏

 新型コロナウイルス感染症の流行でやめていたジム通いを2023年の秋から再開しました。そこから半年かけて体重を減らした体験談は以前のブログで紹介しました。
(「体重、減らしてみました」2024年5月2日)

健診業務にかかわるようになってから感じていた疑問「運動で血圧が下がる?、どのように?、どの程度?」に自ら答えるため、2024年の初めから運動の前後で血圧、脈拍数、体重を測って記録しました。ジムに行くのはほぼ週1回(日曜日)、約1時間半の間にストレッチ(20分)、トレッドミルに乗ってランニング(45分)、筋トレ(20分)をします。

この春で2年が経って測定記録は100回を超えました。
そこで、分析してみたのです。

収縮期血圧は運動後に下がっており、その程度は平均値で➖15mmHgほど。一方、拡張期血圧には低下傾向はありません。

なぜ運動で血圧が下がるのでしょうか?45分間のランニングで考えてみましょう。

トレッドミルで徐々に加速してゆきます。開始から30分で時速10kmにして、そこから6分間ちょうど1km走ると脈拍数は150くらいまで上昇します。その後、徐々にクールダウンして45分で終了。これで走行距離はおよそ6km、消費カロリーは400kcalくらいです。

運動が始まるとカラダ、特に筋肉はエネルギーを消費するため、より多くの酸素を必要とします。これに応える仕組みが2つあります。

① 血流の量を増やす:カラダに含まれる血液の量は急には増えません。心臓が1回ごとに送り出す血液の量と拍動の回数を増やして血流量を増やします。単位時間あたりにカラダを巡る血液の量(血流量)を増やすのです。
② 血流の分布を変える:特にたくさんの酸素を必要とする骨格筋ではすみずみの細い動脈が広がって血液(酸素)が行き渡るようになります。

運動が終わると心臓は落ち着いてきます。一方、筋肉の隅々の細い血管はしばらく広がったままの状態が続きます。血管が広がっているので心臓が血液を送り出す力は少なくて済みます。これが「運動後に血圧が下がる」主な理由です。

今回の記録でわかったのは一時的な効果ですが、運動を継続することで隅々の血管の健康や自律神経のバランスが改善・維持され持続的な効果につながります。
高血圧の治療ガイドラインでも「有酸素運動(ウォーキング・ジョギングなど)を毎日30分以上継続することが推奨される」としています。また、運動は血圧だけでなくコレステロール、メタボさらにはメンタルでも助けになることがあります。

ただし安全にも気をつける必要があります。

例えば今回紹介したようなランニングの最中には心臓が繰り返し、力強く血液を送り出して収縮期血圧は大きく上昇しているはずです(運動中の測定は難しいのですが、160〜180mmHgにもなることがあります)。したがって初めから血圧が高い方(高血圧の方)が同じような運動をすると血圧は危険な高さまで上昇する心配があります。また運動中は心臓もより多くの酸素を必要とします。心臓そのものの血管が狭くなっている病気などに気付かずに運動すると血液が行き届かずに狭心症や心筋梗塞を起こすかも知れません。

そのためには、まず健診を受けて、ご自身の体の状態を知ることから始めましょう。
健診では、自覚症状がなくても、高血圧や脂質異常症、糖尿病などが見つかることがあります。また、運動を始める際に注意が必要な心臓や血管の病気が隠れていることもあります。
安心して運動を続けるためにも、「運動を始めたいけれど、自分に合った方法が分からない」という方は、お気軽にご相談ください。
当院の総合内科では、生活習慣病の診療だけでなく、運動や食事を含めた健康づくりについてもサポートしています。

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公開日:2026年8月7日

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