B型肝炎について

2025年12月19日
消化器内科 津川 直也

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック消化器内科の津川直也です。

昨年肝機能障害に関してまとめましたので、今回は慢性肝炎の原因となるB型肝炎についてまとめていきます。

 

 B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる感染症で、主に肝臓に影響を与えます。このウイルスは非常に感染力が高く、世界中で多くの人々に影響を及ぼしています。

 

 

〇 B型肝炎の原因

B型肝炎ウイルスは、感染者の血液や体液を介して伝播します。

主な感染経路には以下のようなものがあります。

 

・母子感染…感染した母親から出生時に新生児に感染

・性行為…感染者との性的接触による感染

・家庭内感染…感染者との密接な接触や共有物品(歯ブラシ、かみそりなど)での感染

・血液を介した感染…針や注射器の共有、不適切な医療器具の使用、輸血での感染

 

 

〇 検査と診断

B型肝炎の診断には、主に血液検査が用いられます。以下は一般的な検査項目です。

 

・HBs抗原(HBsAg)

 感染の有無を確認するための基本的な指標です。陽性の場合、現在HBVに感染していることを示します。
・HBs抗体(anti-HBsAb)

過去の感染やワクチン接種によって得られる免疫を確認するための指標です。
・HBc抗体(anti-HBcAb)

陽性であれば現在または過去での感染を示します。

IgM型のHBc抗体価が高いかどうかで急性期の感染か判断します。
・HBe抗原・抗体(HBeAg、anti-HBeAb)

ウイルスの増殖状態や感染力を評価するために用いられます。
・HBV DNA量

ウイルスの量を測定することで感染の程度や治療効果を評価します。
 

〇 治療

B型肝炎の治療は、急性と慢性の状況で異なります。

・急性B型肝炎

 多くの場合、急性B型肝炎は自然に治癒します。

治療は主に対症療法(休養、十分な栄養と水分補給など)が行われます。
以前はHBVの遺伝子型はBまたはCでしたが、近年は欧米からAが入り、今では半数がAとなっています。遺伝子型AのHBVは約1割が慢性B型肝炎へと移行していきます。


・慢性B型肝炎

慢性化した場合は、持続した炎症による線維化により肝硬変や肝癌のリスクがあるため、治療が必要となってきます。

しかし現在の治療ではウイルスの排除は困難な為、治療の目的はウイルスの活動を抑制し、肝臓の損傷を防ぐことで肝硬変や肝癌のリスクを減少させることにあります。

 

治療適応

慢性肝炎→ ALTが31以上かつHBV-DNAが3.3 Log IU/ml以上

肝硬変→ HBV-DNA陽性

となっております。

 

治療方法

①Peg-IFNもしくは②核酸アナログ製剤の2種類があります。

それぞれの違いを以下の表にまとめます。

 

①Peg-IFN

②核酸アナログ製剤

作用機序

抗ウイルス蛋白誘導
免疫の活性化

直接的ウイルス複製阻害

投与

皮下注射、24-48週

内服、長期継続投与

薬剤耐性

なし

まれ

副作用

高頻度 うつ病など多様

少ない

催奇形性

なし

否定できない

妊娠中

原則不可

危険性は否定できない

治療反応性 20-40% 高率

 
 ざっくりと違いを説明すると、高率にウイルスの活動を抑制することが出来るのは核酸アナログ製剤であり、副作用も少ないです。しかし、飲み始めると止めることは難しくなります。Peg-IFNは治療期間が決まっているメリットがありますが、多様な副作用が起きることと治療反応性が低いというデメリットがあります。

 

 

〇 予防法
B型肝炎の予防には、ワクチン接種が非常に効果的です。ワクチンは3回の接種が基本で、強力な免疫を形成します。特に以下のような人々にワクチン接種が推奨されます。
・B型肝炎患者の家族
・性的活動が活発な人や複数の性的パートナーがいる人
・輸血や血液製剤を受ける可能性のある人
・医療従事者

 

 また、日常生活においては、以下の点に注意することで感染のリスクを下げることができます。
・感染の可能性がある人との性行為ではコンドームを使用する
・血液や体液に触れる可能性のある場合は適切な防護策を講じる
・針や注射器の共有を避ける

〇 おわりに
 B型肝炎は、適切な予防策や治療法によって管理可能な疾患です。

感染の有無やウイルスの活動状態を定期的に検査し、医師の指導の下で治療を受けることが重要です。また、ワクチンを含む予防策を講じることで、感染リスクを大幅に減らすことができます。疑わしい症状がある場合や感染のリスクがあると感じた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な対策を講じるようにしましょう。

公開日:2025年12月19日

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