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放っておかないで・・・脂肪肝 その②(診断・検査について)

放っておかないで・・・脂肪肝 その②(診断・検査について)

前回その①では、脂肪肝を長期間放置すると、気づかないうちに肝硬変に進展してしまう事があるというお話をしました。前回のブログはこちらから

 

 

今回も引き続き非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のお話をしていきたいと思います。

第二回は【診断】、【検査】についてです。

 

 

本疾患は頭に「非アルコール性」とありますが、実際どの程度のアルコール摂取までが

この疾患の範疇に含まれるのでしょうか。

 

2014年に改訂されました日本消化器病学会からのNASH/NAFLD診療ガイドラインにて、

具体的な数値基準が設けられています。

純アルコール換算で、男性30g/日未満、女性20g/日未満と定義されています。

 

ピンと来ないですね。

実際にはどのくらいでしょうか。

よく適量と言われるアルコール一日20gをお酒に換算しますと、概ね以下のようになります。

 

・ビール(5%    500ml

・ワイン(13%)   200ml

・日本酒(15%)   180ml1合)

・ウイスキー(40%  60ml

 

女性でこの量を超えて毎日飲酒をしている方は、NAFLDとは呼ばないということになります。アルコール関連の脂肪肝を認める場合には、まずはお酒の量と機会を減らすことに努めなければなりません。



では、検査についてです。

まず行うのは、低侵襲で比較的多くの医療機関で実施可能な腹部超音波検査、血液検査です。

 

①腹部超音波検査(腹部エコー検査)

お腹にゼリーを塗り、超音波プローブをあて内臓を観察します。肝臓は実質臓器のため脂肪肝の有無、腫瘤の有無などを検索するのに優れた検査です。また、超音波を利用しているので被曝の問題もなく、患者さんにとって非常に侵襲(体への負担)が小さな検査です。

以下の様に脂肪肝には典型的な所見がいくつかあり、診断には非常に有用です。

 

上図は肝臓と右の腎臓が映ったエコー画像です。肝臓と腎臓の外側の部分はほぼ同じ色をしています。これが正常像です。



一方上図は脂肪肝のエコー画像です。肝臓は灰色、腎臓は黒とコントラストがはっきりしています。脂肪沈着により、エコー輝度はここまで変化するのです。

 

②血液生化学検査

脂肪肝が判明しましたら、肝障害の程度に加えて現在の線維化の有無を調べなければなりません。最近ではその線維化の程度を反映するMac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体(M2BPGi)を測定する機会も増えてきました。また一般的なASTALT、血小板に加え、年齢、BMI、耐糖能異常の有無などの項目を利用したスコアリングシステムもあります。

FIB-4 indexNAFLD fibrosis score

臨床的、血液生化学的観点からの線維化の評価は、その後の経過観察や治療にも大きく関わるためとても重要です。


③経皮的肝生検

肝線維化の評価や、脂肪性肝疾患等の診断におけるgold standardと言われる検査法です。

皮膚に麻酔をかけ、超音波ガイド下に大きめの針で肝臓の組織を直接採取します。回収した組織を病理学的に検索するため、より正確な評価が可能です。

しかし、侵襲が大きいこと、費用の問題、サンプリングエラー(採取した部位により結果が異なること)等の問題に加え、非常に稀ではありますが、血管損傷に伴う大出血という偶発症も存在します。そのため、基本的に入院管理下に行う検査となります。

以上からも、NAFLDの診断、線維化の評価のためとはいえ適応は慎重に考えなければなりません。

 

④エラストグラフィー

上に述べました肝生検の短所を補うように現在汎用されているのがエラストグラフィーという手法です。超音波、MRIなどで用いられますが、ここでは超音波エラストグラフィーについて述べます。

外部から振動を与え、それによって生じた剪断波伝搬速度を用いる手法(shear wave imaging)が広まっています。その速度から肝臓実質の硬度が推察されます。

低侵襲であり、線維化診断能も高いことから今後もますます普及されていくと思います。

 

次回、第三回(最終回)は治療のお話です。   
消化器内科のページはこちらから          


消化器内科 杉原一明

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