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更年期障害のホルモン補充療法 各論 その①飲む?貼る?塗る?

  

   こんにちはミラザ新宿つるかめクリニックの佐野です。私は女性医学会(旧更年期学会)の専門医であり、一般の婦人科診察に加え女性のヘルスケアや更年期障害を専門としています。以前のブログでは更年期障害とホルモン補充療法について大まかに説明しました。今回は少し細かい部分にスポットを当てて、医師との相談の上患者さんが選択できる投与経路について説明していきたいと思います。

 

 更年期障害に効果のある女性ホルモン剤には飲み薬、パッチ、ジェルがあります。飲み薬を経口剤と呼ぶのに対し、パッチやジェルは経皮剤と呼ばれます。では経口剤と経皮剤で効果や副作用に差はあるのでしょうか。

 

 まず効果についてです。各種ホルモン剤がどのぐらい血液の中の女性ホルモン(エストラジオール濃度)を上昇させるかを調べたデータがあります。これによると飲み薬よりもジェルやパッチの方が使用している際の女性ホルモン濃度は高くなる傾向にあるようです。飲み薬の場合、口から摂取されると食道、胃を通って腸まで移動し、その後肝臓に運ばれて初めて血液の中に入ります。この過程で少なからず分解されてしまう成分もあります。一方経皮剤では、皮膚から吸収されたエストラジオールは直接血液の中に入り効果を発揮します。そのため経皮剤の方が血液の中に移行しやすく、女性ホルモンを上昇させる力は強い傾向にあると考えられます。ただしこの女性ホルモン濃度の違いは必ずしも効き目に現れるほどではなく、飲み薬でも十分に更年期障害を緩和する効果は期待できます。

 

   では副作用はどうでしょうか。飲み薬の女性ホルモン剤は肝臓で分解されますが、分解の際にできる物質(代謝産物)が血栓症の原因となる可能性が指摘されています。一方ジェルやパッチの場合は肝臓を通らず血液の中に吸収されるため、使用しても血栓リスクの上昇は認めないという報告が多数確認されています。ただ、飲み薬による血栓症リスクの上昇は、50歳台の女性1000人が1年間に使用すると1.1人程度で痩せ型の女性の場合はもっとリスクが下がると言われています。よって血栓症のリスクが低い女性が使用する分には大きな支障になる可能性は低いと考えられます。


 

   経皮投与のホルモン剤は肝臓を通らないので、肝臓に負担がかからないことが一番のメリットです。そこで元々肝臓が悪かったり、胆石症があったり、肥満などの血栓症のリスクがある場合は経皮剤が適しているといえます。経皮剤にはパッチとジェルがありますが、ジェルを使用する場合、子宮がある女性の場合は黄体ホルモンの飲み薬と一緒に使用する必要があります。よって経皮投与のみでエストロゲン黄体ホルモンの両方の投与を完結させたい場合はパッチが選択されることになります。

 

   ただしパッチにも弱点があります。それは痒みや剥がれです。こればかりは個人差が多く、使ってみないと合うか、合わないかわからないことが多いです。パッチによるかゆみが強い場合、頻繁に剥がれてお薬の投与間隔がまちまちになって不正出血が増えてしまったりすることもあります。この場合は飲み薬やジェル(+飲み薬)に切り換えたりする必要があります。

 

 婦人科の外来では患者さんの体型や既往歴、健康診断の結果等を考慮して、飲み薬でも大丈夫か、パッチやジェルの方がいいかなど医師と相談して決めていきます。他に持病があり、ホルモン補充療法が慎重投与である場合は、パッチやジェルしかすすめられない場合もあります。私個人としては更年期の治療で一番重要なことは「続けられるかどうか」も大きいと考えています。よりライフスタイルにあったお薬を相談していきましょう。次回のブログではもう一つの投与の違いである持続的投与・周期的投与について解説していきます。

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