更年期障害のホルモン補充療法 各論 その②持続的投与?周期的投与?

  

 こんにちはミラザ新宿つるかめクリニックの佐野です。私は女性医学会(旧更年期学会)の専門医であり、一般の婦人科診察に加え女性のヘルスケアや更年期障害を専門としています。前回のブログでは更年期障害のホルモン補充療法における投与経路(飲み薬・貼り薬・ジェル)の選び方について説明しました。今日は投与法について説明していきます。

 

 更年期障害のホルモン補充療法(HRT)にはおおまかに2つの投与法があります。持続的投与法と周期的投与法です。この2つの投与法があるのはどうしてでしょうか。

 

 まず、女性ホルモンにはエストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つの種類があります。このうち不快な更年期症状を和らげてくれるのはエストロゲンです。よってエストロゲンのみを補充すれば不快な症状は緩和されます。ただし、エストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用があり、単独で用いると子宮体癌になりやすくなってしまいます。一方、黄体ホルモンには子宮内膜の増殖を抑え、癌を防ぐ作用があります。そこで子宮のある女性の場合は子宮体癌を予防するため、エストロゲンと黄体ホルモンを併用する必要があります(子宮などを手術で摘出した場合はエストロゲンの投与のみで、黄体ホルモン投与は要りません)。

 

 持続的投与・周期的投与法の違いはざっくり言うと、この黄体ホルモンの補充の仕方の違いと言うこともできます。一体どういうことか、具体的にみていきましょう。

 

 持続的投与法とは通常、エストロゲンと黄体ホルモンを同時・持続的に投薬し休薬を設けない方法のことで、以下の図の様なイメージです。









それに対し、周期的投与法では

  1. ①前半の10-14日間はエストロゲン単独で投与します
  2. ②その後10-14日間はエストロゲンに加えて黄体ホルモンを併用します。
  3. ③その後5-7日程度休薬をします。

持続的投与法に比べれば周期的投与法は煩雑ですね…。




 

 



 両者を比べると、持続的投与法では持続的に黄体ホルモンが補充されるので、子宮体癌の予防効果は周期的投与法よりも高いと言われています。「持続的投与法の方が簡便だし、子宮体癌の予防効果も高いし、じゃあ持続的投与法でいいのでは??」と思われますよね。

ただ周期的投与法にもメリットがあり、必要な時があるのです。

長くなったので次回のブログに続きます。





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