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機能性ディスペプシアとは

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック消化器内科の津川直也です。前回逆流性食道炎に関してブログを記載させて頂きました。今回は逆流性食道炎と症状としては非常に似ている疾患の、機能性ディスペプシアについてまとめさせて頂きます。

 

〇機能性ディスペプシア(FD)とは

 逆流性食道炎と機能性ディスペプシアの大きく違うところは、逆流性食道炎は器質的な疾患であり、機能性ディスペプシアは機能性な疾患であるということです。(逆流性食道炎の中にも粘膜傷害が目立たないNERDと言われるものがありますが、今回は省かせて頂きます。)

 

 器質的な疾患とは、胃や腸などの臓器に悪性腫瘍や炎症など原因となるものがあり症状を呈する疾患のことをいいますが、機能性な疾患ではこの症状の原因となる器質的、全身性、代謝性の疾患がないが症状を認める疾患です。臓器自体には異常がないので、色々な検査を行っても症状の原因を特定するのが難しいという特徴があります。

 

〇症状

 逆流性食道炎の症状と似ており、

  ・食後の胃のもたれ感

  ・みぞおち辺りの痛み・鈍痛・灼熱感

  ・早期満腹感           が主なものとなります。



〇原因

 原因としてははっきりとしたものの特定は出来ていませんが胃腸と脳のコミュニケーション障害に関連していると言われ、それにより

  ・胃の運動障害

  ・胃の知覚過敏

  ・胃腸の細菌叢の変化

  ・胃腸の粘膜免疫の変化     
などが生じることが原因と考えられています。

 またリスク因子として、精神的な併存疾患、急性胃腸炎、女性、喫煙、NSAIDs(鎮痛薬)の使用、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が挙げられています。

Lancet2020 Nov 21;396(10263):1689-1702. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30469-4. Epub 2020 Oct 10.

 簡単に言ってしまうと、ストレスや何かしらの胃腸へのダメージで自律神経系が乱れてしまい、本来の胃腸の働きが損なわれてしまっていることが原因ということです。

           

〇診断

 診断には上部消化管内視鏡検査は必須ではないと言われています。そのため、問診、身体所見で診断を行い投薬治療を検討していくこととなります。しかし、悪性腫瘍などの疾患を疑う所見(55歳以上、体重減少、再発性の嘔吐、出血、食道癌・胃癌の家族歴などがある)がある際には上部消化管内視鏡検査を行うことが推奨されています。

 

〇治療

 内服薬、生活習慣指導、食事療法での加療となります。
 内服薬としては

  ・胃酸の分泌を抑制する薬(PPIH2RAP-CAB

  ・胃の運動を改善させる薬(アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬)

  ・症状に合わせての漢方(六君子湯、半夏厚朴湯)    などがあります。

 

 生活習慣指導・食事療法としては

  ・満腹まで食べずに少量ずつ複数回に分ける

  ・高脂肪食を避ける

  ・禁煙

  ・飲酒・コーヒーの摂取を避ける     などがあります。    

 

 

〇最後に

 日本人のFDに罹患している患者さんは、問診での症状の訴えから判断して、健診受診者の11%から17%存在していると言われており、決して珍しい病気ではありません。お腹の症状で気になることがありましたら、一度お気軽にご相談して頂ければと考えております。よろしくお願いします。

 

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