こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック消化器内科の津川直也です。
4月より同クリニックの常勤医となりましたため、消化器内科疾患に関してのブログ記載も始めさせて頂くことになりました。消化器内科の第1回目のブログとしては、近年受診される患者様が多い逆流性食道炎に関して説明させて頂きます。もしご興味がありましたらご一読して頂けますと幸いです。
〇逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することにより生じる疾患です。
食道の粘膜と胃の粘膜は異なっており、食道の粘膜が逆流した胃酸に耐えられず炎症を起こしてしまいます。
〇症状
・胃のもたれ感
・喉、胸、みぞおち辺りの焼けるような痛み・鈍痛
・げっぷ
・酸っぱいものや苦いものがこみ上げる
などがメインであり、胃酸が喉の方まで慢性的に逆流していると
・空咳、声の枯れ
なども認めることがあります。
〇原因
本来少量の胃酸の逆流は健常な方でもあります。
ではなぜ逆流性食道炎となってしまうかということの要因としては、
・胃酸の逆流の増加
・胃酸の濃度の増加 があります。
具体的には
・食道裂孔ヘルニア
本来食道と胃のつなぎ目は下部食道括約筋という筋肉により締められていますが、この筋力が低下し てしまうこと、腹圧が慢性的にかかってしまうことなどで胃が食道側に脱出してしまうことがあります。そうすると、つなぎ目が緩くなってしまい逆流が起きます。
・食べ過ぎ、早食い、炭酸飲料の摂取
単純に胃の内圧が上昇することによって、胃酸の逆流が増えます。
・アルコール、喫煙、過剰なカフェイン・香辛料、高脂質食の摂取
刺激物により胃酸分泌が過多となります。また、高脂質食には下部食道括約筋を緩める作用もあると 言われています。
・肥満、きつい衣服、長時間の屈む姿勢
胃を外から圧迫することで胃の内圧が上昇し胃酸の逆流が増えます。
〇診断は
実際に食道の粘膜が傷害されているか、傷害されているのであればどの程度傷害されているのかを確認するために上部消化管内視鏡検査を行います。
〇治療は
内視鏡検査による食道粘膜の傷害の程度にもよりますが、胃酸の分泌を抑える薬を中心に内服して頂きます。それと共に食事の時間、食事内容などの生活習慣が大きく関わる疾患なので、生活習慣を見直して頂くことも行います。特に食事を摂ってすぐに横になることは避けて頂く必要があります。
それらでも効果が不十分の際は、適宜相談しながら内服薬の調整を行っていきます。
〇最後に
基本的に逆流性食道炎は良性疾患ですが、長期的に食道粘膜が胃酸に曝露されてしまうと食道粘膜が胃の粘膜に切り替わってしまうことがあり、これをバレット食道と言います。
バレット食道から発生するバレット腺癌が近年日本で増加傾向であり、ただの胃酸の逆流と症状を放置したり、自己判断で市販薬を服用するのではなく、一度きちんと検査を行うことをオススメします。
当院では鎮静下で内視鏡検査を行えますので、眠っている間に検査を終わらせることも可能です。また、嘔吐反射のより少ない経鼻内視鏡で検査も行うことも出来ますので、是非ご相談頂ければと思います。
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