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ホルモン補充療法(HRT)中にあるトラブルとその対応

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。私は産婦人科専門医・女性医学会専門医・抗加齢医学会専門医であり女性のヘルスケアやピル・ホルモン治療を専門としています。本日はホルモン補充療法(HRT)中にしばしば起こるトラブルとその対応について説明します。尚このブログでのトラブルは不正出血や乳房痛など生命に関わる可能性は低いけれども不快な症状を生じるものを扱います。

 

  • 1)不正出血

 子宮のある女性にHRTを行う中で、高頻度にみられるのが出血のトラブルです。これは子宮の内膜が女性ホルモンに反応するためにおこります。特にエストロゲンと黄体ホルモンを持続的に投与する持続的投与法では、タイミングも期間も予測できない出血が起こります。これはエストロゲンによって厚くなろうとした内膜を黄体ホルモンが剥がすように働くためです。逆に言えば膜が出血として出ることにより、子宮内膜を薄く保ち、癌を予防していると言うこともできます。


 持続的投与法の出血は自然に見ていても半年以内におさまってくることがほとんどです。ただし長引く出血は生活への支障も多く、HRTを中断する原因としても一番多いともいわれています。そこで持続的投与法で出血が頻発する場合、周期的投与法に変更します。周期的投与法とは生理のように出血を月に1回程度起こす方法です(投与法の詳細はこちら)。定期的に出血を起こすので、だらだら続くような不正出血は起きにくくなります。また持続的投与法のままでもHRTのホルモン量を下げると、出血は起きにくくなります。(低用量のHRTについてはこちら)。

 

  • 2)乳房痛

 乳房の不快感や乳房痛も頻度の多い症状の一つです。女性ホルモン剤が乳腺を刺激するために起こります。開始時に起こりやすくHRTを継続していると頻度も程度も徐々に和らぐことが多いですが、最初は平気でも途中から出てくる事もしばしば経験します。乳癌の検査を定期的に受けていて異常がなければ、程度によっては様子をみてもよいでしょう。症状が強い場合は中止せざるをえない場合もありますが、HRTのホルモン量を下げることで症状が緩和される事もあります。また天然型の黄体ホルモン製剤であるエフメノ®カプセルではプロベラ®(メドロキシプロゲステロン酢酸エステル)に比べて乳房痛が出にくかったという報告もあります。


3)
 頭痛

 頭痛、特に片頭痛は女性ホルモンであるエストロゲンのゆらぎによって引き起こされると考えられています。そこでエストロゲンの変動がみられなくなる閉経後には軽快することも多くあります。逆にホルモンを補充するHRTは片頭痛の増悪リスクとなります。開始後にあきらかに頭痛発作が増えた場合には、HRTを中止することもあります。

 飲み薬の方がパッチやジェルよりも起こしやすいという報告もあり、飲み薬を使用している場合は投与方法の変更を検討してもいいでしょう。持続的投与法の方が周期的投与法に比べて増悪を起こしにくいという報告もあれば差が無いという報告もあり、投与法での違いに一定の見解はありません。ただ私見にはなりますが、ホルモンのゆらぎが起きやすい周期投与よりも持続投与の方が起きにくく、また通常量に比べてホルモンの量を減らした低用量の方が起こしにくい印象はあります。

 

  • 4)消化器症状

 飲み薬のホルモン剤では胃のムカムカ、吐き気、嘔吐などの副作用が起きることがあり

ます。頻度は0.55%程度と報告されています。飲み薬で症状がでる場合は食後に内服する、量を減らす、貼り薬やジェルに変更するなどの対策をします。ただ飲み薬から変更し、かつ量を減らしても起こることもあります。決して頻度は高くないですが、色々と工夫しても症状が改善しない場合は継続できないこともあります。

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