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子宮頚癌ワクチンとHPVについて 2023年度最新版

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。9価の子宮頚癌ワクチンであるシルガード9®が令和5年度(20234月)より公費で接種できるようになりました。そこで以前に執筆した記事に加筆・修正し、子宮頚癌の原因とワクチンについて、サーバリックス®・ガーダシル®・シルガード9®の違いについてなどを改めて説明していきます。

 

 まず子宮頚癌の原因になるのは性交渉によって感染するヒトパピローマウィルス(HPV)です。HPVには100種類近くの型があり、ある型は皮膚のイボ、ある型は性感染症である尖圭コンジローマ、ある型は子宮頚癌など様々な病気の原因になります。このHPVの中で子宮頚癌の原因になるものだけでも約30種類があると言われています。

 

 HPVはありふれたウィルスで、女性の80%が一生に一度は子宮頚癌の原因になるHPVに感染すると言われています。ただしHPVに感染したとしても9割の女性では免疫力で自然に治り、かかったことに気付かないうちに治ってしまいます。ただし1割の女性では持続的に感染が成立し、病変が進みます。一生のうちに子宮頚癌になる女性は1万人あたり132人で、1クラスが35人の女子校の2クラスに1人くらいです。また子宮頚癌が原因で亡くなる方は1万人あたり30人で、10クラスに1人くらいの割合です。

 

 HPVには子宮頚癌に進みやすいハイリスクHPVと進みにくいローリスクHPVがあります。ワクチンはこのハイリスクHPVの感染を予防し、子宮頚癌になりにくくします。


 子宮頚癌に進みやすいハイリスクHPV1618313335455258の8つの型です。この中でも1618の2種類はとりわけ悪く、かつ進行も早いことで知られています。


 このHPV1618の感染を予防できるワクチンがサーバリックス®ガーダシル®です。ガーダシル®ではこの2つの型に加えて尖圭コンジローマの原因になるHPV611の予防もできます(尖圭コンジローマについてはコチラ)。これらのワクチンを打てば65%の子宮頚癌が予防できます。令和4年度(2023年3月末)まで公費で接種できるワクチンはこの2つのみでした。

 

 シルガード9®は従来のHPVワクチンで予防できるHPV1618611に加えて3133455258の予防もできるワクチンです。9つのHPVの型に対応するので9価HPVワクチンともいわれ、子宮頚癌の90%が予防できます。日本での発売は2021年であり令和4年度(20233月末)までは公費接種の対象外でしたが、令和5年4月より新たに公費で接種できるようになりました。


 日本では小学校6年~高校1年相当の女性は公費でHPVワクチンの接種を受けることができます。HPVワクチンにはすでに感染したウィルスを排除する効果はないいため、初めて性交渉を持つ前の接種が一番効果的とされています。そこで公費での接種は小学校6年生~高校1年相当が対象となっています。

 

 従来のHPVワクチンであるサーバリックス®・ガーダシル®は接種を受ける年齢にかかわらず、計3回の接種が必要です。しかし令和5年度より新たに定期接種となるシルガード9®では1回目の接種を15歳になるまでに受ける場合、2回目の接種までに5か月以上の間隔をあければ(推奨は6~12か月)、合計2回で接種が完了するようになりました。これは海外の研究では15歳未満の方では2回の接種でも3回の接種と同等の抗体価が得られていること、海外では2回接種が広く実施されていることによるものです。

 

 ただし15歳以上の方はシルガード9®でも3回の接種が必要であること、15歳未満でも2回目を5か月未満に接種した場合は3回の接種が必要であることに注意が必要です。

    小学校6年~高校1年の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(厚生労働省作成資料)より引用

 詳しくは以下のページをご覧ください。
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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