子宮頚癌ワクチンで予防できるもう一つの病気 尖圭コンジローマ

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子宮頚癌ワクチンで予防できるもう一つの病気 尖圭コンジローマ

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。私は産婦人科専門医・女性医学会専門医・抗加齢医学会専門医であり女性のヘルスケアやピル・ホルモン治療を専門としています。前回はヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチンの積極的勧奨やキャッチアップ接種についてブログに書きました。今日はHPVワクチンで予防できるもう一つの病気、尖圭コンジローマについて説明します。

 

 HPVには100種類以上の型があり、非常にありふれたウィルスと考えられています。皮膚に感染していぼ(尋常性疣贅)の原因になるものもあれば、粘膜面に感染して子宮頚癌や肛門癌、咽頭癌の原因になるものもあります。尖圭コンジローマはHPV6・11型が原因で起こる良性の乳頭腫です。性交渉によって性器周辺の粘膜に接触が起こると、粘膜の表面に微細な傷ができウィルスが侵入します。侵入したウィルスは3週間~数ヶ月で増殖し、外陰部・肛門周囲・腟内・子宮頚部に疣贅(いぼ)を形成します。痛みなどはなく、何かが触れる・できていると気付いて受診される方が多いです。

 

 婦人科で最初に行うのは見て性状を確認することです。尖圭コンジローマの病変は鶏のとさか状の特徴的な形状を示し、視診のみで診断がつくことが多くあります。ただ外陰部には生理的な変化である「腟前庭部乳頭腫」が元々ある方もいて、両者の違いがわかりづらいこともあります。その場合は一部を生検し、顕微鏡の検査で診断を確定します。



 尖圭コンジローマの治療は大きくわけて2つに分けられます。まず1つは塗り薬で、もう1つは切除したり液体窒素で焼灼したりする外科的治療です。意外に思うかもしれませんが外陰部の病変の場合、現在の治療の第1選択は塗り薬です。塗り薬のベセルナクリーム®(イミキモド5%クリーム)には免疫細胞を活性化し、ウィルスの増殖を抑えかつ排除しやすくする働きがあります。これには実際に高い効果があり「大きな病変が3週間後に完全に消失している」ということも多々経験します。ただしウィルスを排除しようとする反応のため、局所がかゆくなったり、ただれたりすることがあります。そこで「使用できるのは週3回まで、かつ就寝前に塗り翌朝石鹸で洗い流すこと」とされています。なかなか治りにくい場合や、腟内の病変でクリームが使用できない場合は外科的治療を行うこともあります。

 

 ただ尖圭コンジローマは見かけ上治ったようにみえても3ヶ月以内に約25%が再発すると言われています。また3ヶ月以内に再発しなかった場合も免疫力が下がると再発することがあります。そして尖圭コンジローマの最も厄介な所は、妊娠・出産に影響を与える可能性があるという所です。


 妊娠中には母体は本来異物である赤ちゃんをお腹の中で育てるため、異物を排除する力≒免疫力を抑えるように変化します。これを免疫寛容といい「妊婦さんは免疫力が弱い」とよくいわれるのはこのためです。実際に妊娠中には一旦治っていた尖圭コンジローマが再発することもしばしば経験します。これは再発の時期によっては大きな問題になることがあります。

 

 尖圭コンジローマがある状態でお産をすると、産道を通る際に赤ちゃんの喉にウィルスが感染することがあります。その結果、再発性呼吸器乳頭腫という腫瘍が喉にできることがあります。この頻度は決して高くはないのですが、一旦発症すると幼少期に度重なる手術が必要になり、治療に難渋することも多いようです。そのため分娩間近に尖圭コンジローマがある場合は、赤ちゃんへの感染を予防するために帝王切開でのお産が検討されることもあります。

 

 現在日本で接種できる4HPVワクチンのガーダシル®9HPVワクチンのシルガード®は尖圭コンジローマの原因となるHPV6,11型の感染も防いでくれます。性器にできる尖圭コンジローマの場合、妊娠・出産にも影響を与えることがあります。これをワクチンで予防できることにはメリットがあると考えます。

 

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