生理痛は女性の一生に影響する? その①

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生理痛は女性の一生に影響する? その①

 生理痛は女性の一生に影響する? その①

 

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。私は産婦人科専門医、女性医学会専門医であり女性のヘルスケアやピル・ホルモン治療を専門としています。今までもブログの中で生理痛を始めとする月経困難症と治療についてお話ししてきました。今日は月経困難症が女性の一生に与える影響についてお話したいと思います。

 

 女性が初めて生理を迎える年齢は徐々に早くなっています。最近は小学校高学年で生理を迎える女子も少なくなく、生理痛や月経困難症のために婦人科を受診する中高生も段々と増えてきている印象です。

 

 月経困難症がティーンの女子に与える影響が近年研究で報告されてきています。ある研究では月経困難症のある女子は宿題の完遂能力や学校の成績が低く、眠気・抑うつ・不眠が多かった事が報告されています。また月経困難症のある女子は月経痛のため学校を休む率が高く、社会活動への参加が制限されたとも報告されています。

 

 月経困難症の原因の一つは子宮内膜症といって、子宮内膜が本来あるはずのない骨盤の中で増殖する病気です。生理に合わせて子宮内膜症の病変が出血・脱落を繰り返し、生理痛をおこします。子宮内膜症は骨盤の中に発生しますが、麻酔をかけて骨盤の内部を腹腔鏡でのぞかないと診断ができない事が多くあります。ある研究では月経困難症の若年女性に腹腔鏡の検査をすると5070%に子宮内膜症が存在したと報告されています。よって外来での検査であきらかな原因がなくても、子宮内膜症が隠れているケースは相当にあると考えられます。


                                         

 この子宮内膜症のある女性の場合、ない女性に比べると「望んだ職業に就けなかった」と答えた人の割合が多かったと研究で報告されています。なぜでしょうか。

 

 前述したように月経困難症がある女子は学校を休む率が高く、宿題の完遂能力や学校の成績が低いと報告されています。また学校以外の社会活動への参加も制限されます。成績が低ければおのずと進学にも影響が出ます。進学ができても社会活動への参加が制限されれば、望む職業に就くための様々な機会も逸してしまうことになるでしょう。これらの結果、望んだ職業に就けなかったと感じる割合が多くなった可能性があると考えます。


                                                        



 ただしこれを聞いた方の中には「望んだ職業に就けないとか、成績が落ちるって本当?痛いのは生理の時だけですよね?」と思う方もいるかもしれません。しかしそれは違います。

 

 子宮内膜症の初期は生理痛から始まります。しかし強い痛みが繰り返されると、神経は過敏になります。すると普段は痛みを感じないささいな刺激に対しても痛みを感じるようになります。この状態が継続すれば生理痛だけでなく、断続的に痛みを感じる「慢性骨盤痛」に進展することがあります。これは実際に婦人科の診療を行っているとよくわかります。子宮内膜症の患者さんは予測できない痛みに脅かされており、この痛みが女性から活動性や社交性を奪ってしまうことは想像に難くありません。

 

 このように月経困難症は「ただ月経痛があって、痛み止めを飲めばいい」というだけでは片付けられない影響を女性に及ぼします。また月経困難症は妊娠・出産にも影響し、閉経した後の老年期にも影響を起こしてくることが近年わかってきました。

妊娠・出産と老年期への影響については、次回のブログに続きます。

 

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