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内分泌外科 岡本医師と婦人科 佐野医師の対談

 ミラザ新宿つるかめクリニックも今年で開院5年目を迎えます。ミラザ新宿つるかめクリニックでは婦人科の診療にも力を入れており、月経のトラブルや更年期の治療を希望されて来院される女性も増えています。診療を担当する佐野医師によると、婦人科診療との関わりが大きいのが女性に多い甲状腺の病気であるそうです。今年度よりつるかめ会は長年甲状腺癌の治療に携わってきた内分泌外科の岡本医師を準常勤医師として迎えました。そこで今回は佐野医師たっての希望で「女性と甲状腺」というテーマで岡本先生に対談・インタビューをしていただきました。




佐野医師以後敬称略):先生の専門である内分泌外科は、一般の人には少し聞き慣れない言葉かと思います。具体的にはどのような病気を専門にされているのでしょうか。

 

岡本医師(以後敬称略):内分泌外科とはホルモンを作っている器官に生じた病気(主にしこり)の治療を専門としています。具体的には甲状腺・副甲状腺・副腎の3つの器官です。この中で一番多いのが甲状腺の病気です。2021年までは乳線外科の統括もしており、乳癌の診断・手術にも携わってきました。

 

佐野:甲状腺や乳腺の病気は女性に多く、産婦人科の治療にも関わってきます。また不妊症や流産、月経不順をきっかけに甲状腺の病気がわかることも多いです。また産科では甲状腺に持病のある妊婦さんも多かったです。

 

岡本:私の患者さんでも甲状腺癌の術後に出産する方は多くおられます。また妊娠中に副腎の腫瘍が見つかったりすると、妊娠中でも手術が必要になることもありました。

 

佐野:更年期の症状でも動悸・発汗や抑うつなどは甲状腺機能異常の症状とよく似ています。更年期の症状と思って甲状腺の病気を見逃さないように日頃から気をつけています。ところで甲状腺癌の場合、自覚症状はあるのでしょうか。

 

岡本:実は甲状腺癌の場合7割は無症状です。3割では腫瘤を触知したり、反回神経という神経に影響がでて嗄声(かれ声)がでたりして気づく方もいます。

 

佐野:甲状腺癌の場合、治療はどのようなものになりますか。

 

岡本:基本は手術で、ステージにもよりますが全摘出と片葉切除の2つの方法があります。片葉切除は日本独自の術式で、癌のある側のみを摘出します。日本の研究結果では全摘出でも片葉切除でも予後が変わらないことがわかり、海外でも徐々に片葉切除が普及してきています。


佐野片葉切除が日本独自とは存じ上げませんでした。メリットは何なのでしょうか。

 

岡本:甲状腺を全部摘出すると、術後には甲状腺ホルモンの補充が必要です。半分残すことで甲状腺機能が保たれ、ホルモンを補充する確率を下げることができます。日本人は薬を飲むのが嫌いなので、そのあたりの文化が関わっているのかもしれません。

 

佐野:最近は甲状腺癌でも手術をしなくなっているという話も聞きます。詳しく教えてください。

 

岡本:女性に多い甲状腺の乳頭癌の場合、1cm以下であれば手術をしない選択肢もあります。10年経っても92%は大きさが変わらず、3mm以上大きくなるのが8%とされているためです。

 

佐野:進行が遅いので放っておいても生きている間に悪さをする確率は低いということですね。ただ癌で何もしないという選択肢は医師にとっても患者さんにとっても勇気がいることですよね。きっかけはあったのでしょうか。

 

岡本:海外で剖検(ご遺体を解剖して調べること)をすると甲状腺癌がある方が沢山みつかり、なおかつ死因とは無関係であることが報告されました。これをきっかけに実は甲状腺癌は治療しなくていいのではという仮説がたてられ、日本の2つの病院で研究が始まりました。

 

佐野:これも日本が主導の研究なのですか?

 

岡本:はい。2010年に日本のガイドラインに方針が明記され、2015年に米国のガイドラインでも明記されました。

 

佐野:ただ手術をしない選択肢があるというだけでするかどうかは患者さんの希望に沿ってという所でしょうか。

 

岡本:その通りです。個人的には1cm以下で手術したけれど術後に遠隔転移を起こした症例もあります。多くは大丈夫だけれど、例外もあり、予測できないところがいくら経験を重ねても難しい所です。

 

佐野:先生はミラザ新宿つるかめクリニックでは甲状腺のセカンドオピニオン外来もされていますよね。先生のような豊富な経験があれば、患者さんも安心して相談できるように感じます。

 


対談を終えて佐野医師より

 急な申し出にも関わらず、今回の企画を快諾して下さった岡本先生。物腰の柔らかさでクリニックのスタッフからも非常に人気が高いです。今回の対談を通しても、飾らない人柄や患者さんを思う気持ちを話の流れの至る所で感じました。一緒に働いていて、今でも常に研究や勉強をし続ける姿勢も尊敬しています。ミラザ新宿つるかめクリニックでは私は水曜日木曜日第1.3.4.5週の金曜日に岡本先生と一緒に診察をしています。必要に応じて連携し、スムーズに治療をすすめていけたらと考えております。

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