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甲状腺が腫れていると言われたら

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニックの岡本です。私は外科の中でも甲状腺・乳腺を専門にしています。外科専門医・甲状腺外科専門医・乳腺専門医の資格も持っています。また、手術のみでなく内科的な治療も行っています。今日は「甲状腺が腫れていると言われたら」についてお話をさせていただきます。

  甲状腺が腫れていても、自分では気づかないことも多いです。家族や友人、または健診の医師などから指摘されてびっくり、かもしれません。

●甲状腺ってどこにあるの?

 甲状腺は「のど仏」のすぐ下にあって、呼吸の通り道である気管に張り付いています。蝶が羽を広げたような形をしており、羽に相当する部分は葉(よう)と呼ばれて長さ4-5cm、厚みは1cm程です。



  • ●甲状腺は何をしているの?

 甲状腺は「濾胞(ろほう)」と呼ばれる、とても小さなタンクの集合体です。タンクの壁は甲状腺細胞で出来ており、細胞内で甲状腺ホルモンを作っています。できあがったホルモンはタンクに貯蔵されるか、あるいは血管内に放出されて全身をめぐります。

 甲状腺ホルモンはからだの様々な細胞の代謝を活発にする、元気を出すホルモンです。

 

  • ●甲状腺が腫れているって、どういうこと?

 甲状腺は、触診で触れないのが正常の大きさです。触診で触れたら、それは理由があります。ただし、「触れる」、「触れない」の判断は医師によっても異なることがあります。

 

  • ●腫れている理由は?

 甲状腺が腫れているとき、その理由は治療法で2つに分けられます。ひとつは薬で治療する内科的理由です。理由として考えられる診断名はバセドウ病か、橋本病です。バセドウ病では甲状腺のホルモンが過剰となります(甲状腺機能亢進症)。橋本病では甲状腺の働きは保たれていることが多いですが、進行するとホルモン不足になります(甲状腺機能低下症)。もう一つが手術で治療する外科的理由です。理由として考えられるのは甲状腺のしこりです。しこりには良性と悪性があります。ただし、外科的理由であっても必ず手術ということではありません。

 

  • ●腫れていたら、どうやって診断しますか?

 診断の基本は触診です。正常であれば触れないはずの甲状腺を触れるとき、甲状腺全体が腫れている(これを「びまん性」と言います)か、あるいは甲状腺の一部が腫れている(これを「結節性」と言います)か、を判断します。びまん性であれば内科的理由(バセドウ病や橋本病)を第一に思い浮かべます。結節性なら、外科的理由を考えます。しこりのことを結節とか腫瘤(シュリュウ)あるいは腫瘍(シュヨウ)とも言います。しこりの10%は悪性(がん)です。

 次に甲状腺超音波検査を行います。一部を触れる場合(しこり)はもちろん、全体を触れる場合(びまん性)でも、そのなかにしこりが潜んでいないかを確かめることが出来ます。超音波検査ではしこりの見え方で、良性か悪性かのおおよその区別をつけることができます。

 血液検査は内科的理由の診断に欠かせません。甲状腺ホルモンを測ることでホルモンが過剰でないか、あるいは不足していないかを知ることができます。さらに甲状腺に対する抗体を調べることでバセドウ病や橋本病を診断できます。また、腫瘍マーカー(サイログロブリン)の測定は悪性腫瘍の診断に役立つことがあります。

 最後に、外科的理由(しこり)の診断には細胞の検査(細胞診)を行います。しこりに細い針を刺して採取した細胞を顕微鏡で観察して診断します。しこりが良性か悪性かを知る最も正確な診断法ですが、完璧ではありません。悪性かどうかを正しく診断するには細胞の「顔つき」と「並び方」を評価することが大切ですが、細胞診では「顔つき」を評価できるものの、「並び方」は評価できないためです。

 しこりの正確な診断には、深い経験と、触診や超音波検査などの所見を踏まえた総合的な判断が大切です。


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