ブログをご覧になっている皆様、大変ご無沙汰しております。ミラザ新宿つるかめクリニック院長の張です。本日は生活習慣病の基本となる動脈硬化についてお話させて頂きますので、皆様の普段の生活で活用いただければ幸いです。
1.動脈硬化とは?
動脈は心臓から全身の臓器に酸素や栄養成分を届ける体の通路です。その通路の壁が厚くなったり、硬くなったりすることを動脈硬化といいます。健康な動脈には弾力性があり、柔らかく、伸展します。血管が適切に収縮したり伸展したりすることで血圧を上げたり下げたりと調節をし、体のバランスを保っています。加齢や生活習慣病などで動脈は徐々に弾力性、伸展性を失い、動脈硬化が進んでいきます。
この動脈硬化の中でも特に危険なのは“粥状硬化(じゅくじょうこうか)”です。 聞き慣れない単語かもしれませんが、粥状硬化とは脂肪、コレステロールやその他の物質が動脈の壁に付着し、塊となって一部動脈壁に入り込んでいる状態です。このような塊は医学用語では“プラーク”と言います。プラークが出来ると、血管の中が狭くなったりして血流に渋滞を起こします。そして、最も恐ろしいのはこのプラークが破れたり、血管壁から剥がれたりし、中にある脂肪などが血流に乗ってより遠くの細い血管を完全に詰まらせてしまうことです。こうなるとその血管が栄養を与える臓器(心臓や脳など)の血流が途絶えてしまい、心筋梗塞や脳梗塞が突然起こるわけです。
2.動脈硬化の症状は?
心筋梗塞や脳梗塞が起こった場合、当然全身症状が出て命が危険になることもあります。しかし、プラークが破れる前の単に動脈の内腔が狭くなった状態では実は自覚症状は乏しく、心臓や脳は高度の狭窄で無ければ安静時に症状は起こりません。けれど、運動時など、より多くの血流を心臓などが要する場合には、狭くなった動脈内腔の血流では十分に栄養が行き届かず、労作時の狭心症や一過性の意識消失などの症状を起こすことがあります。これらの症状はいわゆる前兆でもあり、これから心筋梗塞や脳梗塞が起こる確率が高くなるため、速やかに受診して治療を受けることが大変重要です。
3.動脈硬化の原因は?
加齢(65歳以上)、喫煙、高脂血症、糖尿病、高血圧や家族歴などがあります。運動との関連もあり、普段から運動をあまりしない方も動脈硬化のリスクが高くなります。食事、運動の基準は人によって変わりますが、高脂血症、糖尿病、高血圧等の基礎疾患があれば、その治療で受けた食事・運動指導をしっかり守る事が大切です。当院では栄養指導も行っておりますので、主治医の先生にご相談ください。基礎疾患のない方でも脂質や糖質・アルコールの摂りすぎは高脂血症や糖尿病、高血圧の原因となり、動脈硬化に進む危険があるので、食事に気をつけましょう。
4.動脈硬化のチェック
動脈硬化のチェック方法はいろいろあります。
PWV(脈波伝播速度)やABI(足関節/上腕血圧指数)
まず、患者様の全身状態を評価して、それぞれのその時点で必要である検査を行い、そして積極的に心筋梗塞、脳梗塞を予防するいわゆる一次予防を当院が行っています。上記の全ての検査が当院もしくは近隣の関連施設で行うことが可能なので、気になる方は一度ご来院いただきご相談ください。
5.動脈硬化の治療は?
上記からもお分かりのように、禁煙、LDLコレステロールを下げること、血圧を下げること、糖尿病を積極的に治療すること、運動(1日30分ほどの早足の歩行を週5日間)などが治療の基本となります。そして、何より大切なのは健康診断を忘れずに毎年受けることで、早期発見と早期治療に繋げていくことです。
話が長くなりましたが、皆さんいかがでしょうか。日頃の生活に少しでも動脈硬化のことを思い出して普段から健康に気をつけて頂ければ幸いです。