ブログBlog

甲状腺の手術を勧められたら・・・

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニックの岡本です。私は外科の中でも甲状腺・乳腺を専門にしています。外科専門医・甲状腺外科専門医・乳腺専門医の資格も持っています。また、手術のみでなく内科的な治療も行っています。今日は甲状腺の手術についてお話をさせていただきます。

 甲状腺の手術を勧められたら、心穏やかではいられませんね。つらいこと、困っていることが治療で解決するなら決心しやすいかもしれません。それでも外科と聞くと怖い気がしませんか?まして症状がなければ、迷ってしまうのはむしろ当然とも言えます。ここでは甲状腺の手術と言われたら主治医に確認しておきたい6つのポイントを紹介します。

 

  • ●なぜ、手術なのでしょうか?

 ほかに治療法があれば、それぞれのメリットとデメリットを聞いてみましょう。担当医は一般的な知識として知っているはずです。その上であなたの状況を踏まえた個別の判断として手術を勧めている理由があるはずです。それを尋ねてみましょう。
 例えばバセドウ病に対しては薬物療法や放射線治療(放射性ヨウ素内用療法)もあります。これらの治療法で治りにくいとき、あるいはこれらの治療法が不向きな場合に手術を考慮します。
 甲状腺がんの初期治療は手術です。ほかに方法はありません。ただし、転移せずに甲状腺にとどまっている小さながん(微小がん)なら手術をせずに様子をみることもできます。
 一方、がんではない「しこり」では手術の必要性は主治医によっても意見が分かれるかもしれません。また「しこり」によっては、がんかどうかの区別が難しい場合があります。その心配をどう判断して決めるかは患者さんと医療者の共同作業なのです。手術の決心がつかなければ、別の医師に意見を聞いてみる(セカンドオピニオン)という方法もあります。
 



    • ●どんな手術ですか?

     予定している甲状腺の手術について2つの質問をしてください。まず、傷の場所と大きさです。鎖骨の少し上で首の皮膚を数センチ横に開いてアプローチすることが多いです。最近行われるようになってきた内視鏡を使った手術では洋服で隠れるような目立たない場所から手術することもあります。
     2番目の質問は甲状腺をどの程度摘出するかです。バセドウ病では甲状腺のすべてを摘出(全摘といいます)することが多いですが、一部を残す手術もあります。甲状腺がんではすべてを摘出(全摘)あるいは病巣のある側のみのいずれかです。どちらにするかは病気の進行度に応じて決めることを診療ガイドラインは推奨しています。さらにがんの広がりによってはリンパ節や周囲の臓器を一緒に摘出する必要があります。手術の方法や内容もあなたの状況を踏まえた個別の判断になります。疑問があれば積極的に質問してみましょう。あるいはセカンドオピニオンを求めてみましょう。

    • ●手術は安全ですか?

     外科医はいつでも「無事に退院していただく」ことを最優先にしています。その達成に向けてあらゆる配慮をしますが、それでも「うまくゆかない」結果になってしまうことがあります。手術のときにおこる不具合、これを手術合併症といいます。甲状腺の手術合併症でも一般的な合併症(たとえばエコノミークラス症候群など)と、甲状腺に特有の合併症(たとえば声にかかわる神経の麻痺障害や手術後出血など)とがあります。どんな合併症がどの程度の確率で起こるのか、起きた時にはどんな対策があるのか、を確かめておきましょう。

    • ●手術後はどうなりますか?

     手術から翌日は喉の痛みや発熱がありますが、程度は軽いです。食事を摂ることもできます。安静にするのではなく、起き上がって頸部や肩を適度に動かすことがリハビリになります。少し歩くだけでもエコノミークラス症候群の予防になります。傷の近くからチューブを留置していることがありますが、2~3日ではずれます。さらに1~2日で抜糸となって退院です(抜糸をしない方法で傷を縫うこともあります)。




    • ●手術後も通院は必要ですか?

     少なくとも、一定期間は通院をします。まず退院後は2~4週間で受診します。このときは、①傷の様子(腫れ具合や声の様子、そして食事に問題が無いか)を確認します。②そして手術で摘出した甲状腺の顕微鏡検査(これを「病理診断(びょうりしんだん)と言います」についての説明を聞きます。甲状腺がんの場合にはその進行度を踏まえて、その後の治療の必要性を相談します。③さらに血液検査で甲状腺ホルモンの状態を確認します。

     その後の通院の頻度や治療内容は症状や検査所見に応じて決まります。甲状腺をすべて摘出した場合には甲状腺ホルモン剤の服用が欠かせません。一部のみ(通常は甲状腺の半分)の摘出で済んだ場合には甲状腺の働きは保たれることが多いですが、時間が経ってから服用が必要となる場合もあります。

    • ●手術後に注意することがありますか?

     これまで通りの生活で構いません。ただし甲状腺ホルモン剤を服用しないで済んでいる場合には、次の2つに注意しましょう。第一に甲状腺の働きが低下することがあります。「疲れやすい」、「だるい」「寒がりになった」、「便秘気味」、「皮膚がかさつく」などの症状で困るようであればホルモンのチェックを受けましょう。もう一つ、昆布の摂り過ぎには気をつけましょう。食べて(摂って)はいけない、という訳ではありません。でも摂り過ぎるとホルモン不足になることがあります。「昆布と甲状腺」この話の続きは次回のブログで。

     
      内分泌外科のページはこちら

      セカンドオピニオンのページはこちら

    ブログ一覧に戻る

    初診Web予約はこちら

    LINELINE公式アカウント
    はじめました!

    LINE

    • 翌月の診療担当医表と休診情報
    • 急な休診のご連絡
    • ブログの更新

    などをお知らせします。

    こちらのボタンから、
    友だち登録をお願いします

    LINE

    PAGE TOP