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更年期障害にきくサプリメント エクエル®について

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。私は産婦人科専門医、女性医学会専門医・抗加齢医学会専門医であり女性のヘルスケアやピル・ホルモン治療を専門としています。本日は更年期症状の改善効果があることで知られるサプリメントのエクエル®について説明します。

 

 昔から大豆に含まれる大豆イソフラボンには女性ホルモン様の作用があることが経験的に知られていました。近年では大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが体内に取り入れられ、腸内細菌によって「エクオール」という物質が産生されることがわかりました。この「エクオール」は女性ホルモンの受容体に結合し、女性ホルモンであるエストロゲン様の作用を示します。そこでこのエクオールをサプリメントとして摂取すると、更年期障害の改善や骨粗鬆症予防・シワの改善に効果があることがわかっています。

 

 ただここまで読まれた方の中には「大豆から作られるのであれば、サプリではなく毎日大豆製品をとったらいいのでは?」と思われた方もいるでしょう。確かに更年期世代の女性に必要なエクオールの量は110mgで、これを体内で作るのに必要な大豆食品は木綿豆腐なら2/3丁、納豆なら1パックです。ただし大豆イソフラボンをエクオールに変換するには腸内細菌の働きが必要で、日本人の中でこの腸内細菌をもつ人、つまりエクオールを作ることができる人は約半数と言われています。そしてエクオールを作ることができる人でも腸内環境が変化すると作れなくなることがあります。またエクオールを作ることができる人が通常の食生活を送っていると、約半数の人では更年期世代に必要な量の1/3程度しか体内では産生されていないことがわかっています。そこでエクオールをサプリメントといった形で摂取することに意味があると言えます。 



 エクオールは動物、人での安全性についてのデータも揃っており、1日に30mgの摂取を3ヶ月継続しても子宮内膜や乳腺、甲状腺ホルモンに異常は認めないというデータがあります1。またエクオールは女性ホルモンが欠乏している際にはエストロゲン受容体に結合し、エストロゲン様作用を示します。しかし体内に女性ホルモンが過剰にある場合はエストロゲン受容体に結合し、過剰なエストロゲン作用を弱めるという独特の働きをします。そのため摂取しても乳癌のリスクが上昇する心配もありません。むしろエクオールの元であるダイゼインの摂取量と乳癌の再発リスクは逆の相関を示し、ダイゼインの摂取量が多ければ多いほど乳癌の再発率は低下する2というデータもあります。



 またエクオールが最近注目されているのは更年期の関節痛や変形性関節症に有効とされていることです。更年期の関節痛はエストロゲンの低下によって起こることが知られていますが、エストロゲンの受容体にはαβの2種類があります。αは主に子宮・卵巣・腟・乳腺などの女性特有の臓器に分布します。一方βは中枢・骨・血管・関節に分布します。エクオールはこのβ受容体によく結合するため、関節痛を和らげる効果があると考えられます。

 

 大塚製薬のエクエル®は更年期障害、骨粗鬆症の予防、シワの改善や脂質代謝への改善効果に関してエビデンスのあるエクオール商品です。そのため当院ではエクオール製品としてエクエル®の使用を推奨しています。先日エクエル®を院内に導入し、お求めいただくことができるようになりました。ただし医療機関での取り扱いということもあり、普段から外来に受診されている患者さんや更年期の相談で診察を受けた患者さんを対象として「療養の向上を目的としての販売」に限らせて頂いています。エクエル®自体は薬局でも購入することができ、大塚製薬の公式ホームページから近隣の取り扱い店舗を検索することができます。インターネット上の一部のサイトではエクエル®の偽造品が取引されている事実が確認されています(2023年3月15日現在)。偽造品を購入されることが無いようご注意ください。

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引用文献

  • 1) Oyama A et al. The effects of natural S-equal supplementation on skin aging in         postmenopausal woman: a pilot randomized placebo-controlled trial. Menopause
  •  19:202-210,2012
  • 2) Guha N et al: Soy isoflavones and risk of cancer recurrence in a cohort of breast cancer  survivors: the Life After Cancer Epidemiology study. Breast Cancer Res Treat
  •  118:395-405, 2009

 

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