天然型の黄体ホルモン製剤 エフメノ®カプセルについて

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天然型の黄体ホルモン製剤 エフメノ®カプセルについて

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。私は産婦人科専門医・女性医学会専門医・抗加齢医学会専門医であり女性のヘルスケアやピル・ホルモン治療を専門としています。今日は昨年より日本でもホルモン補充療法(HRT)に新しく使用できるようになった天然型の黄体ホルモン製剤 エフメノ®カプセルについて説明します。

 

 更年期症状を改善する女性ホルモンのエストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用があります。そこで子宮がある女性がHRTを行う場合、子宮内膜の増殖を抑制するためもう一つの女性ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)を併用する必要があります。今まで日本ではこの黄体ホルモンとして合成黄体ホルモン製剤が用いられてきました。合成黄体ホルモン製剤は成分を吸収させやすくする等の目的のため天然型黄体ホルモンを作り替えたホルモンですが、HRTに使用した場合にはHRTの非使用者と比べ乳癌のリスクが若干上昇することが課題でした。

 

 その一方海外では女性の卵巣で作られるものと同じ成分である天然型黄体ホルモン製剤がHRTに広く用いられてきました。ヨーロッパでの研究ではHRTに天然型黄体ホルモンを併用した場合、HRTの非使用者と比べても乳癌リスクは上昇しないことが報告されています。また天然型黄体ホルモンは血中のコレステロール値や血管の機能に悪影響を与えず、合成黄体ホルモンと同様に子宮内膜の増殖を抑制する作用があります。そこで日本でも天然型黄体ホルモンの開発、発売を待つ声が多くありました。そしてこの天然型黄体ホルモンが国内での開発ののち、2021年の末より日本でも使用できるようになりました。これがエフメノ®カプセルです。


 エフメノ®カプセルは持続的投与法、周期的投与法のいずれにも使用できます。持続的投与法の場合1カプセル(100mg)を1日1回、また周期的投与法の場合は2カプセル(200mg)を卵胞ホルモン剤の投与15~28日まで14日間併用します。と、ここまではあまり従来の黄体ホルモン剤と大きく変わらないのですが、内服のタイミングには注意が必要です。眠気やめまいなどの副作用が出現することがあり、就眠前に内服します。また食後には薬が効きすぎてしまう可能性があり、食後の服用は避けるようにします。

 

 エフメノ®カプセルは国内初の天然型黄体ホルモン製剤で今後日本でもHRTにおいて広く用いられることになっていくと考えられます。しかし現時点では新薬のため発売から一年が経過するまで処方制限があり、一度に2週間分までの処方しかできません。特に持続投与の場合は2週間に一度の来院が必要になるので少し負担が大きいかもしれません。

 

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