低用量ピルのフレックス投与法について その② 子宮内膜症への効果

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低用量ピルのフレックス投与法について その② 子宮内膜症への効果

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。私は産婦人科専門医、女性医学会専門医・抗加齢医学会専門医であり女性のヘルスケアやピル・ホルモン治療を専門としています。前回までのブログでは低用量ピルのフレックス(連続)投与法の基礎知識や内服の仕方について説明しました。フレックス投与法の場合、最長120日程度まで1回の周期を延長し、生理の回数を少なくすることができるということでしたね。

 

 ただブログを読んでいる皆さんの中には「生理って毎月起こさなくていいの?」と不安に思う方もいるかもしれません。まず、この点を解決しましょう。

 


 通常の生理周期では新しい周期が始まると卵巣には卵胞が育ち、女性ホルモンが分泌されます。女性ホルモンの分泌により子宮内膜は厚くなります。やがて卵胞が成熟すると排卵が起こり、子宮内膜は受精卵の着床に備えてさらに成熟します。しかし妊娠が成立しなければこの内膜は保つことができず、排出されます。これが生理です。生理が毎月あれば、排卵しているとおおよそ推定することができます。また子宮内膜も定期的に入れ替わるため子宮内膜癌(子宮体癌)の予防にもなります。「毎月生理があるといい」というのはこのためです。

 

 一方ピルを飲んでいる場合、ピルの効果で排卵は抑制されます。またピルには子宮内膜を薄く保つ作用もあります。そもそも膜が厚くなりにくくなっているので、必ずしも毎月生理として排出しなくても大丈夫です。ただしピルを飲んでいても膜が薄く保てず不安定になることがあります。そうなると出血がおきます。そこでフレックス投与の場合は25日目以降に3日間連続して出血が起きたら(=休薬の合図が起こったら)休薬をおいて生理を起こしてあげるわけです。

 

 また最近は休薬を数周期に1回に減らすようにした延長投与という方法も登場しています。日本では2018年に77日間内服+7日間休薬=計84日間まで周期を伸ばしたジェミーナ配合錠という低用量ピルが使用できるようになりました。従来の低用量ピルの投与方法を周期投与と呼ぶのに対し、延長投与とフレックス投与は2つまとめて連続投与と呼ばれます。この連続投与の内服終了後の妊娠率を含む安全性は周期投与と変わらないとされています。

 

 そして連続投与では周期投与に比べ優れている点が多数あります。まず休薬期間の頭痛や気分変調が周期投与のピルに比べて少なく、出血日数も少ないとされています。また連続投与では生理の回数が少ないため、周期投与に比べると一定の期間内に月経痛のある日数も短縮します。それに加えて月経痛の程度自体も周期投与のピルよりも軽減されることがわかっています。

 

 連続投与では子宮内膜症にも高い効果を示します。連続投与は子宮内膜症による月経痛、骨盤痛、排便痛、性交痛を有意に軽減させ、ダグラス窩などの深部内膜症に伴う症状も改善させます。また直腸子宮内膜症と膀胱子宮内膜症の病巣縮小効果も報告されています。近年では子宮内膜症の術後の再発予防に低用量ピルを使用する事が多いのですが、術後の再発率も周期投与に比べて連続投与の方が低いとも報告されています。


 現在フレックス投与であるヤーズフレックスは「子宮内膜症に対する疼痛の改善」、延長投与であるジェミーナ配合錠は「月経困難症」に対し、保険適応で治療に使用することができます。欧米ではすでに月経困難症に使用されるピルの67割が連続投与法になっています。今後は日本の月経困難症の治療においても連続投与が標準的な治療になっていくでしょう。


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