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月経困難症の治療 低用量ピルとディナゲスト 後編

  

 こんにちは、ミラザ新宿つるかめクリニック婦人科の佐野です。私は産婦人科専門医、女性医学会専門医であり女性のヘルスケアやピル・ホルモン治療を専門としています。今回も前回に引き続き月経困難症の治療に使用されるお薬である低用量ピルとディナゲストについての続きです。

 前回までは低用量ピルとディナゲストの違いについて説明しました。ディナゲストは黄体ホルモン単剤の薬なので不正出血を頻繁に起こしたり、エストロゲンの分泌を抑制して更年期のような症状を起こしてくることがあります。ではディナゲストを用いるメリットはどこにあるのでしょうか。

 低用量ピルとディナゲストを比べると、ディナゲストの方が黄体ホルモン製剤単剤であり、1日量に含まれるホルモン量は高くなります。よって子宮内膜を薄く保つ効果も高く、子宮内膜症や子宮腺筋症への治療効果は高いと一般的に言われています。また低用量ピルには頻度は稀ですが血栓症の副作用があり、血栓症リスクの高い女性は使えないことがあります。しかしディナゲストは新しい黄体ホルモン製剤であり血栓症のリスクがないため、ピルが使いにくい女性でも使用することができます。

 小括するとディナゲストには不正出血や更年期症状の副作用はあるけれど、治療効果も高く、血栓症のリスクはない。元々の内膜症や腺筋症が重度で高い治療効果を望む場合や血栓症のリスクが高くピルが使えない場合はディナゲストが適していると言えます。実際に月経困難症状がひどい患者さんがディナゲストを使用すると「不正出血はあるけれど生理があるよりは快適です」と言って、満足される方が多いです。





 元々ディナゲストは子宮内膜症・腺筋症に対してのみ使用されるお薬でした。しかし20205月には用量の低い新しいディナゲスト錠0.5mgが発売され、あきらかな病変がない機能性月経困難症の場合も使用できるようになりました。従来のディナゲストは朝・夕と1mgずつ1日に計2mg内服していましたが、機能性月経困難症に使う新しいディナゲストは朝・夕と0.5mgずつ1日に計1mgと半分の量を内服します。

 機能性月経困難症の場合はあきらかな病変がないため、従来の半分の量でも十分に月経痛を抑える効果が期待できます。さらに新しいディナゲストでは従来のディナゲストよりもエストロゲン分泌を抑制する力は弱く、エストロゲンの低下によって起こる更年期様症状も起こりにくいのではないかと考えられています。私の外来の患者さんにも新しいディナゲストを使用されている方が複数いらっしゃいます。従来のディナゲストを使用するような子宮腺筋症や内膜症の患者さんと同等に評価することはできず、あくまで私見にはなりますが、副作用は不正出血を含め従来のディナゲストよりも軽い印象があります。

 今後月経困難症においては、治療のみならず病変の悪化を予防するためにも低用量ピルやディナゲストはますます重要になってくると考えられます。それぞれの長所、短所を理解して、患者さんにより合ったお薬で治療ができるようにサポートしていきたいと考えています。


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