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鎮静剤を使用した内視鏡検査について (後編)

  

鎮静剤を使用した内視鏡検査について ~後編~

 皆様こんにちは。ミラザ新宿つるかめクリニック、消化器内視鏡専門医の福島啓太です。前回、内視鏡検査における鎮静剤の効果についてデータを示してお話しするつもりが、前置きが長くなり本題に入れず大変失礼致しました。もしここから読み始めたという方は一度、前回投稿した前編をお読みください。

 それではさっそく、鎮静剤を使用せずに経口内視鏡をうけた受診者からの評価を集計したグラフからお示しします。



 鎮静剤なしで経口内視鏡を選択された方は総数49名(全体の5%弱)と多くありませんでした。経験に基づく印象からすると、「苦しくない」と回答された方が多いと感じる結果でした。その理由として、当院で鎮静剤なしでの経口内視鏡を選択される方は、以前にも検査をうけたことがあるがその際にそれほどつらくなかったため鎮静剤を希望されない、という方の割合が高いためと考えられます。つまりこのグラフの解釈には、初めて内視鏡検査を受けた方や以前につらい思いをされた方による評価があまり含まれていないという偏りが隠れていることに注意が必要です。また、当院では経口内視鏡でも鎮静剤を使用しない方には経鼻で使う細径内視鏡(挿入部が細く作られている内視鏡)を使い、標準的な太さの内視鏡よりも楽に受けていただけるようにしていることも関係していると思われます。

 
 次に、経鼻内視鏡の結果をお示しします。




 経鼻内視鏡は267件でした。当院では内視鏡検査を初めて受ける方や、以前に鎮静なしの経口内視鏡がつらかったという方の中で、鎮静剤に不安があるという方や、内視鏡の映像をリアルタイムに見たいという方によく選択されています。一般的に経鼻内視鏡は嘔吐反射を起こしやすい舌根部等と内視鏡との接触が少なく、経口内視鏡よりも楽に受けることができる方の多い検査です。

 ところがグラフを見てみますと、先ほどの経口内視鏡(鎮静剤なし)と比べるとつらかったという評価が増えています。一般的な評価とは逆です。その理由は受診者の背景つまり母集団の違いです。個々の感想をみると経口内視鏡に比べれば楽ですがやはりつらい、という方や、初めて内視鏡を受けたという方が多く含まれています。今回の集計では全くの初めてですという方で経口と経鼻を比較できていないため、この2つのグラフを比べて、経口よりも経鼻のほうがつらい検査である、という評価はしないでください。経験的には経口よりも経鼻のほうがつらかったという方が全くいないわけではありませんが、一般的な評価通りに経鼻の方が楽でしたという方が多いです。ただ最後にお示しする鎮静剤を用いての経口内視鏡の結果と比べると、母集団の違いを考慮してもつらいと感じる方が多いのは確かであると考えられます。

 それでは、最後に鎮静剤を用いての経口内視鏡についてお示しします。




 鎮静剤を用いての経口内視鏡は793件でした。初めて受けるという方はもちろん、前回も鎮静剤を使って楽だったという方や、鎮静剤なしでつらかったという方など、多数の方に選択されています。結果は圧倒的で、9割弱の方に全くつらくなかったという評価をいただきました。当院の目標である「鎮静剤使用で苦痛の少ない内視鏡検査」はほぼ実践できているのではないかと思います。しかしそれでも4以上のつらさを感じた方がいらっしゃることは改善すべき点です。それらの方のうち多くは検査終了前に鎮静が覚めてきてしまった方ですので、次回以降は鎮静剤の投与量を増やしたり早めに鎮静剤の追加投与をするなどして、つらさをできるだけ0に近づけられるように工夫していきます。

 いかがでしたでしょうか。内視鏡検査は苦しいというイメージがあって敬遠していたり、実際に大変な経験をされた方は、是非一度鎮静剤を用いての内視鏡検査をご相談ください。局所麻酔薬アレルギーのために咽頭麻酔ができない方も、鎮静下であれば問題なく検査が可能です。鎮静剤を用いての内視鏡検査が、万が一がんが発生したとしても早期発見早期治療ができるように、適切に検診を受けていただくための一助になれば幸いです。

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