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検診と尿酸

検診と尿酸

                   人間ドックアドバイザー 総合内科専門医 早瀬行治


「尿酸」と言えば「痛風」や「尿管結石」を思い浮かべますね。

 

最近「尿酸」は「メタボリックシンドローム」と密接な関係にあることもわかってきました。

 

・内臓脂肪が蓄積すると尿酸産生が促進される。

 

・中性脂肪が高いと体重とは関係なく尿酸値も高くなる。

 

・高血圧患者の20〜40%で尿酸値が高く、痛風患者の約30%で血圧が高い。

 

・「インスリン抵抗性」が原因で血糖値と同時に尿酸値も上昇する。

 

これらは、動脈硬化が進みやすい状態では尿酸値も高くなりやすいことを示しています。

 

 

尿酸自体も動脈硬化を促進します。血管のもっとも内側にある内皮細胞に尿酸がとりこま

 

れると、酸化ストレスが発生し、血管壁を傷害して動脈硬化の原因になります。

 

 

 

当院検診では日本人間ドック学会の基準により、尿酸(mg/dL)を以下のように判定してい

 

ます。日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインの7-8-9ルールにも沿った基準です。

 

A(正常)       2.1-7.0

B(軽度異常)     7.1-7.9

C(要経過観察)    8.0-8.9 あるいは 2.0以下

D(要精査・要治療)  9.0以上

E(治療中)

 

 

通常の条件では、血液の中で尿酸は7mg/dLまでは溶けます。

 

しかし、これを超えると結晶化して結石になる傾向があります。

 

男性の15%はB判定に該当します。多いですね。

 

 

 

尿酸値が高かったら生活習慣を見直しましょう。基本は、飲酒制限と肥満の改善です。

 

飲酒量上限の目安としては、1日に日本酒1合、ビール500ml、ウイスキーダブル1杯、

 

ワイン200ml程度です。

 

生活習慣を改善しても尿酸値が下がらないときは薬物療法が必要です。

 

 

特に以下の場合は積極的な治療が必要です。

 

・健診でメタボリック・シンドロームやその予備群と指摘された方

 

・高血圧症・糖尿病で治療を受けている方

 

・狭心症や心筋梗塞になったことのある方

 

 

 

尿酸値が低い場合もあり、2mg/dL以下を低尿酸血症といいます。低尿酸血症の原因は腎臓

 

からの尿酸排泄亢進がほとんどです。運動後の腎障害や尿路結石が起こることがあります。

 

経過観察あるいは尿酸を専門とする医療機関の受診が推奨されます。

 

低栄養で低尿酸血症になることもあります。古代人の尿酸は3.5くらいだったようです。

 

 

 

尿酸には動脈硬化促進作用(悪い点)だけでなく、抗酸化作用(良い点)もあります。

 

飽食の時代に生きる私たちは、善玉、悪玉の両面をもつ尿酸と上手に付き合う必要がありま

 

すね。

 

 


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